今までの治療では治らない「食べられません」(摂食機能障害)
前回、摂食機能障害…食べたり飲み込んだりすることの異常についてお話しました。
今日もこのお話の続きをします。
一昔前まで、歯医者の仕事は「歯の形を元に戻す」ことでした。
むし歯になれば、金属やプラスチックを詰めて、歯の形にしました。
歯が抜ければ、となりの歯が丈夫ならつないで、歯の形に戻しました。
もし歯がたくさん抜けてしまったら入れ歯にして、歯の形に戻しました。
歯の形に戻しさえすれば、
患者さんが抱えている「お困りごと」は、大雑把に言えば解決しました。
歯の形に戻しさえすれば、まぁまぁ「食べられる」ようになりました。
だから、「歯の形を元に戻す」ことか、
せいぜい「歯を無くならないようにする」ことが、歯医者の仕事でした。
しかし、ここ10年か20年くらいで、
歯医者を取り巻く環境も大きく変わってきました。
なぜか。
それは、脳梗塞や認知症の方が増えたからです。
このような方が「食べられません」というとき、
むし歯で痛い、歯が抜けたから噛めないという理由で食べられない
…とは限りません。
「食べ物と食器を区別する機能」
「もぐもぐする機能」
「ゴックンする機能」
などに問題があれば、虫歯の治療をしたり、入れ歯を作ったりしても、
「食べられない」というお困りごとは、全然解決しないのです。
動けない方のご自宅にお邪魔して治療をしていると、
このようなケースを見かけることがあります。
次回は、このような摂食機能障害(食べたり飲み込んだりすることの異常)の治療についてお話しします。