メディアの医療系の報道は「話半分」
2018年8月12日未分類
久しぶりの更新です。
楽しみにして頂いている方は申し訳ありません。
診療だけで毎日ヘトヘトで…。
さて、ネットやテレビや雑誌の医療系の報道についてのご質問を
たまに患者さんから頂くことがあります。
いつも「話半分くらいの気持ちで十分です」と答えています。
莫大な背景を記者がすべて理解できるわけもありません。
(特に最近はオールドメディアの記者の劣化が気になります)
また、仮に理解できても、限られた時間や紙面で
全て伝えられるわけもありません。
意図的に、あるいは無意識で、切り取って報道せざるを得ないのです。
その典型のようなものを見ました。
「銀歯治療」の繰り返しが歯を失う負の連鎖を引き起こす
(女性セブン2018年8月23・30日号)
さも「銀歯の方が悪くなりやすい」ような書きぶりですし、
「削らないのが良い治療だ」と読めますが、
これはどちらも間違いです。
虫歯になった歯や形によって最適な治療法(詰め物)は変わります。
奥歯の大きな虫歯にプラスチックを詰めると、
長期で噛んでいれば割れるかも知れません。
虫歯の形によってはプラスチックより銀歯の方が、
歯にピッタリさせやすいことも多いです。
また、虫歯を取っていって、歯にペラペラの部分が残ったとします。
このペラペラ、残した方が良いですか?残さない方が良いですか?
噛み合わせによっても違いますが、
私の感覚では、ペラペラの部分は残さない方が良いことが多いです。
理由は、長期間使っているうちに、ペラペラの部分が欠けるかもしれないからです。
欠ければ再治療が必要です。
再治療が必要なのに、痛くないからと放置していると、
気づいたときには大きな虫歯になっているかも知れません。
また、私たちが最初に削るよりも大きく欠けることもあります。
最初にしっかり(予防的に)削っておかないばかりに
5年後や10年後には、結局、より多くを削るようになる可能性もあるのです。
私は、もちろん不必要に削るのは悪い治療だと思いますが、
「不必要に削らなすぎる」のも、
長期の経過を考えると、決して良い治療だとは思いません。
メディアの報道は信じてしまいがちですが、
このように「話半分」です。